【Blog】アントロポゾフィー医療の特徴とは?~通常医療との違いを含めて~
ひだまりクリニックの安達です。
最近たまたま、海外がルーツの患者さんとお話しすることが続きました。
その時に言われて印象的だった言葉があり、その方の母国では通常医療に統合的な医療を一緒に受けることで調子よく過ごしている友人が多いのに、日本ではそうなっていない、というものと、通常医療の病院の先生にアントロポゾフィー医療を教えてもらえたらもっと早く始められるのに、という2つでした。
どちらも、日本でアントロポゾフィー医療を行う私たちには耳の痛い言葉です。
日本の通常医療の現場にいると、いかにいわゆるエビデンス・科学的根拠がないとされる治療が、通常医療の医療者から軽んじられ、むしろ疎まれているかを痛感します。
もちろん、統合的な医療を行う私から見ても、通常医療を全否定して効果がないのは信じる心が足りないから、などと患者さんに言ってしまう、危険だと思われる民間療法があるのも事実です。
しかし一方で、通常医療とは別の角度で患者さんをサポートできる統合的な医療が、通常医療の現場で敬遠されすぎているとも感じます。
通常医療の長所を生かしつつ、短所を補い、サポートし、さらに患者さん自身の、病に根本的に取り組みたいという願いに寄り沿うことのできる統合的な医療が望まれているのだと思います。
アントロポゾフィー医学は、ルドルフ・シュタイナーという哲学者でもあり神秘学者であった人が、イタ・ヴェーグマンという医師とともに提唱して始まった医学体系です。その始まりに、アントロポゾフィー医学は通常医学を否定するものではなく、拡張するものだと述べられています。
通常医学は、自然科学的な視点で人間を見るのですが、アントロポゾフィー医学は人間の心や精神はそれだけでは捉えられないのではないか、と考えます。私たちが普通に体験していることでも、自然科学的に測定したり、証明したりできていないことはまだまだあるのです。
そのような意味で、アントロポゾフィー医療は『通常医学を拡張した診断や治療を行う』それが特徴だと言えます。
ただし、日本の医療保険制度の限界で、拡張された医療は保険が適応されない自由診療となってしまうため、通常医学の領域は通常医学でカバーしつつ、アントロポゾフィー医療独自の治療を、当ひだまりクリニックにて行うことになります。
たとえば、食物アレルギーがあった場合、まずは症状が出ないように、アレルゲンの食物を除去することが必要です。さらに最近は、少しずつ食べ進めることで、免疫寛容を獲得する、つまり、食べられるようになることを目指すのが通常医療のスタンダードな治療です。
その際、どの程度注意が必要か、もちろん個人によって大きく異なるので、医師の指導を受けながら治療を進めていきます。通常医療では、経験も整った環境もあり、安全に治療を進めることができます。
しかし食べものに慣らすことで、患者さんの食べものを克服する力をひきだすことは試みても、その力をさらに強めるような働きかけはありません。
その点、アントロポゾフィー医療はその個人のもともと持っている傾向に働きかけます(体質治療といいます)。その人の傾向にとって、食物アレルギーはあくまで一つの表れかもしれません。その体質に働きかけることによって、傾向そのものをバランスの取れたものにしていく、それは学びや成長のプロセスに似ています。
たとえば手術の必要な病気であれば、その通常医学の治療が無事に遂行できるようなサポートをすることもアントロポゾフィー医療では可能です。
個人の体質のほかに、もちろん年齢や環境、それまでの人生で経験したことなども影響を与えることがあります。それらを丁寧に見ていくこともまた治療に結び付けていきます。
その方法が、芸術的につくられた医薬品や、芸術療法、芸術的な運動療法、看護ケア、などさまざまにあることも、以前のブログでお伝えしてきました。
関心のある方は、ぜひ一度当ひだまりクリニックまでお問い合わせください。