オイリュトミーとは、ギリシャ語で「調和のとれた美しいリズム」を意味し、母音や子音の響き、また音楽のリズムなどを、手足を使った固有の動きに表します。
ひだまりクリニックでは、このオイリュトミー療法をルドルフ・シュタイナーが提唱するアントロポゾフィー医学に基づき、担当の医師の診断のもと、専門の資格をもった療法士により行っています。
オイリュトミー療法では、母音や子音の動きを通してバランスの損なわれている心身の機能に働きかけます。この母音や子音の動きを繰り返し行うことで、血液循環や呼吸、代謝の働き、さらには心や精神の状態を整えていきます。このオイリュトミー療法を通して症状の改善に伴い、患者さんのQOLが上がって免疫力もアップします。
<母音A(アー)の動き>
胸の前から両手を広げる動きで、心を解放して対象を受け入れます。また衝動性や感情の起伏に均衡を与えます。
<母音E(エー)の動き>
両腕を交差させる動きで、意識を目覚めさせます。また対象との境界をつくり、自己を客観化します。
<子音Mの動き>
寄せては返す波のように腕を前方へまた胸元へと動かす動きで、呼吸を調整し、心身をリラックスさせます。
時間 | 60分(休息を含む) |
予約可能日時 | 火曜日および第1・第3金曜日 10:00~17:00 ※事前予約が必要です。予約日時は診療時にご確認ください。 |
回数(目安) | 7~12回/1クール ※毎週または隔週 |
まず、医師による診察があります。そして医師の診断に基づき、療法士は患者さん個別に療法計画を立てます。
療法士は、患者さんがこうなりたいと願う目標に寄り添いながら、改善していく過程をサポートします。
※患者さんによって内容は異なります。
1回ごとのセッション(療法士と1対1で行われます)は60分です。最初の10分~15分程度話をし、30分~40分オイリュトミー療法を行い、その後横になり休息します。心身のバランスが整っていないことが病の原因であることが多いため、まずは心と体の結びつきを強めることから療法を始めます。安心して、ここに自分は居て良いのだと感じることのできる体を作っていきます。
セッション後自宅での練習課題があります。課題を積極的に行うことは、自分自身と向き合い、自らの生き方を見つめ直すきっかけとなります。
医師との密接な話し合いの下、疾患と関わる臓器に働きかけていきます。例えば糖尿病の場合は、膵臓に働きかけ、喘息の場合であれば、呼吸器系に働きかけるなどの動きを行います。
身体の改善とともに、心と精神の領域にも働きかけ、自己への自信と生きる意志を強めていきます。
※7~12回が1クールですが、医師の判断で、例えば慢性疾患の場合などは、追加治療を受けたほうが良いケースもあります。心の領域に比べ身体の領域では変化に時間がかかるため、もう1クール継続するケースも多く見られます。
オイリュトミー療法は内科疾患(生活習慣病などの慢性疾患)、ガン、心身症、精神的な疾患、また発達障害、骨格の疾患や不妊治療など多岐に渡っています。
※詳細は医師にご確認ください。
音楽や絵画などの芸術療法に比べ、オイリュトミー療法はより身体の部分に関わり、生命力を強めることを主眼としています。当クリニックでの患者さんは40代~50代の女性が多いですが、オイリュトミー療法は幼児からご年配の方まで、あらゆる年齢の方が受けることができます。
オイリュトミー療法では、自宅での練習も療法に含まれるため、個人の治癒に向かう積極的な意志の力が必要です。
石川 公子
オイリュトミー療法士(スイス・ゲーテアヌム精神科学自由大学認定)
バイオグラフィーワーカー(同大学認定)
心理療法家を一時目指し、ドイツに留学。そこでアントロポゾフィーと出会い、アントロポゾフィーに基づく治療教育を3年間学ぶ。その後、オイリュトミー療法に関心を持ち、7年間の研修・実習を行う。
帰国後は、シュタイナー学校や幼稚園でオイリュトミー療法を開始。その後、アントロポゾフィー医師の養成に関わり、皮膚科医、耳鼻科医、精神科医,産科医のもとでオイリュトミー療法を行う。現在はひだまりクリニックでの活動のほかに、健康オイリュトミー、バイオグラフィーワークのワークショップや、翻訳などを行う。
日本オイリュトミー療法士協会副代表。共著に『オイリュトミー療法講義』(R.シュタイナー)