【Blog】発熱と免疫システムの関係~おうちでできる適切な対処を考えよう~(2/2)
こんにちは。
ひだまりクリニックの医師の安達です。
前回の続きです。
ところで、発熱に対し熱を下げる解熱剤をつかうことはどうなのでしょう?
解熱剤を使うことは、からだがせっかく体温を上げて対応しているところを、薬で無理に下げることになります。薬の効果が切れれば、また上がることも多いので、体温の上下でむしろ子どもが疲れることもあります。しかし、熱性けいれんの既往があるとか、水分が十分とれない程きつそうなら、もちろん年齢に応じた安全な解熱剤をつかって問題ありません。
それ以外で、家庭でできる発熱への対応はどのようなものがあるでしょうか。
まず大人でも子どもでも、発熱のパターンを知っておくと良いですね。風邪のはじまりに、寒気を感じることはよくあります。有名な漢方薬の葛根湯は、重要な目安のひとつは急な寒気を伴うことだと思います。
寒気がして、からだがぶるぶる震える、顔色が青ざめている、手足に触れると冷たい・・・このような時は、からだが熱を上げようとがんばっているときです。それだけきつくもあり、刺激にも弱いのです。熱性けいれんは、発熱の初期に起こることが多いと思います。
ですので、なるべく周囲の人が落ち着いて、静かな、明るすぎない環境で、温かくしてあげることが大切です。
一方、しばらくすると汗をかきはじめ、かぶっていた布団をはねのけたりします。顔色は真っ赤で、うだるような表情、手足に触れると熱い・・・こうなると、熱は上がりきって、発汗し体温を下げようとし始めています。
寒気がする時期には、からだを温めることが大切です。湯たんぽは本人が気持ち良くなることが多いです。生姜湯やからだを温めるとされるお茶やハーブティーを飲むのもよいでしょう。
よく熱が出ると、冷たいタオルや「冷えピタ」で頭を冷やしたりしますが、それは寒気がおさまってからにします。そもそもこの時期には、冷やされることを本人が嫌がります。
熱が上がりきると、冷やされることは心地よいと感じるものです。
熱が上がりきったときに、子どもであれば、アントロポゾフィー医療でよく行うのは、脚のレモン湿布です。脚の方に熱を下げることによって、実際の体温はあまり下がらなくても、本人が楽そうになることが多いです。
また、子どもだと熱が下がり始めるとすぐに動きたがります。しかし、東洋医学でもよく言われることですが、治りがけが肝心です。できれば完全に熱が下がるまで横になって過ごす時間をとり、熱が下がっても活動は少しずつ再開できるほうがいいと思います。熱が二峰性に上がる感染症も多いです。
熱を上げて感染症と戦うという、いつもと違うエネルギーを消費する活動の後なので、大事をとりつつ日常生活を再開できると、子どもの免疫システムにとって、負担が強すぎず、よりよく成長できると思います。