すみれが丘ひだまりクリニック

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【ひだまりブログ】発達障害について

発達障害とは

 

発達障害とは、厚生労働省のHPによれば、

「脳の機能的な問題が関係して生じる疾患であり、日常生活、社会生活、学業、職業上における機能障害が発達期にみられる状態をいう。最新のDSM-5(「精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版」)では、神経発達障害/神経発達症とも表記される。」とされています。

 

精神科領域の診断として重要視されるDSM-5において発達障害は、

  • 知的障害(知的能力障害)
  • コミュニケーション障害
  • 自閉スペクトラム症(ASD)
  • ADHD(注意欠如・多動症)
  • 学習障害(限局性学習症、LD)
  • 発達性協調運動障害
  • チック症

これらの7つに分けられています。

一般的には、乳幼児から幼児期にかけて、特徴的な症状を呈するものを言います。ただし小児期に症状が目立たず、学齢期や思春期あるいは成人に至って、学校や職場で問題が顕在化することもあります。

 

発達障害の原因は?

 

発達障害の場合、本人の怠慢や家族のしつけなどが原因ではなく、基本的に脳の機能の障害から起こっているとされます。

そしてその原因は、多因子遺伝といわれており、もともと遺伝的に脳の脆弱性(弱さ)があって、広い意味での環境要因が加わって発症すると考えられています。

決してめずらしい障害ではなく、2012年に発表された文科省の調査では、全国の公立小中学校の通常クラスに、発達障害の可能性のある児童が6.5%いることが分かっています。通常のクラスに2人程度いることになります。これらの数字は、驚きをもって受け止められたのと同時に、教育現場ではやっぱりと思う先生方も多かったようです。

現代社会という大きな環境のなかで増加している発達障害。こどもたちの環境を広い意味でとらえ、一人一人のこどもの特性に合わせて、どのように整えていくかは、大きな課題だといえます。

 

発達障害の診断は?

 

発達障害はスペクトラム(連続体)であるので、もともと正常と異常の境界があいまいであると言えます。教育現場でも“グレーゾーン”と呼ばれるお子さんが多い、という事実があります。

また診断は同じでも、症状は年齢やタイプによっても様々で、個々に異なります。そのため、診断をつけること自体が重要なのではなく、その子自身の特性を理解し、今後の対応につなげることが重要です。それぞれの発達障害が併存することもありますし、年齢が上がれば二次障害が加わることで、状態が複雑になることもあります。

 

発達障害の診断は、上記のようなさまざまな症状と発達歴、生活歴などと、各検査の結果を総合して行われます。決して一つの検査だけで診断がつくものではありません。しかし、検査がそのお子さんの特性を理解できる機会になるのも事実です。

 

現状では児童精神科や発達センターと連携した小児科医などによって診断されることが多いのですが、初回の診療を受ける機会が得にくいことが問題となっています。予約をしようとしても、半年先、などということがよくあるようです。

そこで、国もかかりつけ医の発達障害への支援スキルをあげるための研修なども支援しています。疑いであっても、その子どもの特性を理解できる支援者や支援の場と早くつながることで、保護者やこどもの生活と今後をよりよくするための機会を増やすことが重要です。

 

アントロポゾフィー医学の発達障害の見方と対応は?

 

アントロポゾフィー医学では、乳幼児期は、その子が親から引き継いだ遺伝性を、ある意味でカスタマイズして、自分自身の体に変えていく大切な時期だと考えています。通常医学では、エピジェネティクスとして、遺伝子の発現に対し環境要因が働きかけうるという、ここ10数年の間にわかってきたことです。アントロポゾフィー医学では、お子さんの特性を理解し、診断名によらず、偏りがあればあそびや運動、音楽などの療育のなかで働きかけます。幼児期に始めることができれば、遺伝的な要因を克服できる貴重な機会となると考えています。

学童期であれば、心理的なことも含め、その年齢に応じた教育的芸術的な療法によって働きかけを行います。学童期では、学校という新しい環境にどう適応するかという観点もあります。二次障害と呼ばれる、自己肯定感が下がることを避けることがとても重要です。学校とは別の環境で、見守る大人がいることは、学校という集団になじみにくい発達障害のこどもの学童期を支えることになります。

思春期以降には、また別の課題があります。そしてこの頃のこどもは、自分で納得しなければ療育などを受けることは難しくなります。そのためにも、専門的で芸術的な療育の必要性が増してきます。

 

まとめ

 

発達障害という診断であっても、グレーゾーンであっても、そのこどもが自身の個性に基づいて本来の力をより発揮できることを支える、という目標は同じです。具体的な生活の目標をどこに置くのかも、個々によって異なっています。年齢に応じた成長全体を、家庭と教育者、そして医療者がともに支えることで、その子自身の健全な発達を目指します。

アントロポゾフィー医学は、発達障害の診療に限らず、その人の個性を理解するように努め、そのうえで偏りがあれば、それを調和的な方向に導いていくように薬物療法、芸術療法、運動療法をもちいて働きかけます。

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