【Blog】睡眠の役割~質のよい眠りとは?~(2/2)
こんにちは。
ひだまりクリニックの医師の安達です。
前回の続きです。
そして大人になり、高齢になってくると、今度は早い時間にシフトしていきますね。ただ高齢化の特徴はもうひとつあって、リズムの振幅が小さくなっていく、つまり覚醒も眠りもともに浅くなり、活動と休息の差が少なくなっていくのです。高齢の方の姿を思い浮かべると、なんとなく理解できますよね。
ですから、年を取ってきて眠りが浅い、すぐに目が覚める、というのは自然なことです。
しかし、それが心配で不安になる方が、結構いらっしゃいます。それは、眠れないことが問題ではなく、眠れないことへの不安が大きいことが問題という状態です。
睡眠自体には問題なく、身体の負担になっていないので心配はいらないことを説明すると、安心して、気にしなくなる方もおられます。
一方で、とにかくぐっすり眠りたい、布団の中で眠れずごろごろするのがつらいという方もおられます。
このあたりは、老齢期のひとつの課題である、今の自分を受け入れる、仏教に由来する諦念という心情(単なるあきらめではなく、道理を悟るという意味)が必要になる場面ですね。なんとか気持ちを切り替えられるよう、お手伝いをしていきたいものです。
アントロポゾフィー医療では、眠りの時間は、私たちの生命の力が回復するとても大切な時間だと考えています。精神や心も、ある意味からだから離れて、その源で新たな力をうけとると考えています。忘れられない不安やつらさが眠りを妨げているなら、それに対応する必要があると考えます。
一方で、より良い眠りのために必要なのは、昼間の活動であり、それは単にからだをたくさん動かして、疲れれば眠れるだろう、ということではなく、心や精神の活動も伴ったからだの活動が必要だと考えています。心や精神を十分に活発に働かせること、日々を新しい気持ちで体験し、感じ、考えるような昼間の活動が、健全な睡眠を引き起こすのです。
特に不安な事や心配事もないけれど、気持ちよく眠れない、ぐっすり眠った気がしないなどの不調を感じる方は、ぜひ一度ご自分の生活をふりかえってみてはいかがでしょうか。
忙しくからだは動かしているけれど、心もせわしなく次の用事についてあれこれ考えているけれど、実は機械的なからだや心の動きになっていないだろうか。急ぐだけでなく、十分にその時間を感じて、自分自身の考え・心の動きやからだの動きを持てているだろうか、と。
自分で調整できることと、できないことがあります。気持ちよく眠れないなと思ったら、当院にお気軽にご相談いただければ、と思います。